必要とされるトラウマのケア


現代社会では、いろいろなことが大きなストレスとなって、私たちの心に深い傷を与えるトラウマ・・・

トラウマ自体は自然に回復することもありますが、心身に長期にわたって影響を与え続けることもあります。それはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれるものです。突然その出来事を思い出して体調が悪くなる(フラッシュバック)、眠れない、その出来事を思い出させるような人や場所を避ける、また、悲嘆、うつ、心身症、閉じこもりなど、心身の健康や生活自体にいろいろな影響を及ぼし、とても苦しくて辛い状態になります。こうしたPTSDのケアは医療と心理双方のケアが必要となるものです。

 

トラウマというほど生死にかかわるような大きな出来事を体験したわけではない」、「このくらいのことは他の人も経験しているから『心のケア』などというのは大げさだ」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。

でも、ある出来事がその人にとってどういう意味を持つかは、人によって異なります。

仲の良い友人から言われた、何気ない一言が心に突き刺さって、その後何か似たような出来事が起こった時に、特に意識してもないのに眠れなくなったり胸が苦しくなったり涙が出てきたりすることがあります。

時には、何十年も経った後で、怖い夢を見たり、外に出かけられなくなったり、激しい怒りが湧いて暴力などトラブルになってしまうこともあります。

 

家族との関係でも、覚えていないような幼い頃の出来事が、その人のその後の生き方に関わってくることも多いのです。

何事にも自信が持てなかったり、何をやっても自分は中途半端だと感じたり、自分の気持ちを出せずに我慢しているうちに、自分が本当はどう感じ考えているのか、どうしたいのか、わからなくなってしまう人も多いです。

実はこのような日常生活のストレスがトラウマとなると、その影響は大きく長く続き治療も難しく時間がかかることも多いのです。

 

 

 

「心のケア」、特に「トラウマのケア」は、医療職や臨床心理士・公認心理師などの心理専門職、中でもトラウマセラピーの十分な知識を持ち、多くの治療経験を積んでいる人が行うのが望ましいでしょう。「トラウマ」の反応は、心だけではなく体の反応でもあるので、それについて専門に学んでいる者が行う必要があると言えます。「トラウマセラピー」を受けて新たな「トラウマ」を受けることがあるという話も聞きます。

トラウマのケアは難しいものであり慎重に行わなくてはいけないことをご理解ください